デジタル化の最先端を行くと言われる中国。中国事業に取り組むサンヨー食品がパートナー企業とともに、デジタルメディアを活用したマーケティングをどのように行っているのか。サンヨー食品海外事業本部長の髙橋勇幸氏にCDO Club Japan理事の鍋島勢理氏が聞いた。(JBpress)
――中国市場で先進的なデジタルマーケティングを展開されているそうですね。
私どもサンヨー食品グループは、中国では康師傅(カンシーフ)という企業と合弁で事業を行っています。飲料と即席麺という主に2つの事業の柱があります。1999年に同社が経営危機に陥ったとき、弊社が資本参加しました。その後業績は急速に回復し、現在の年間売上高は約1兆円です。
消費行動に大きな変化
中国市場の特徴は、デジタル化とミレニアル世代の台頭という2つによる消費行動の大きな変化が起こっていることです。
中国のデジタル環境は、現在の世界最先端ではないかなというのが実感です。それはアリババやテンセントなどのデジタル企業が提供するサービスのレベルの高さだけではなく、それを利用している中国の消費者の数の多さが、日本では想定できないようなレベルだからです。
中国のEコマース、デジタル広告の市場は2000年代後半から急速に伸びてきています。今のECの市場規模は約123兆円。13億の人口のうち、ECのユーザーが7~8億人いるのです。
それに連動して、インターネット広告と旧媒体の広告の比率は、今や72%がインターネット広告という状況です。パートナーである康師傅もインターネット広告65%対その他媒体35%となっています。即席麺と飲料という幅広い層の消費者向けの商品のコミュニケーションはインターネット、SNSがメインとなりました。
もう一つ重要なのは、消費者の消費行動が大きく変わっているという点です。その代表がミレニアル世代(2000年以降に20歳になった世代)で、中国には4億人以上がいます。このミレニアル世代は旧世代と根本的に消費行動が違います。
若い中国人は、健康・ウェルネス志向が強い、外食の頻度が高い、有名かどうかよりフィットするブランドを自分で見つける、いいものが見つかったらみんなとシェアする、という傾向があります。一言で言えば彼らはデジタルネイティブであり、これまでの世代と根本的に変わってきています。健康志向はどの国のミレニアル世代にもだいたい共通していますが、とくに中国は日本以上に強いなと感じます。