ブロックチェーンに書き込まれた情報を企業間で連携できれば、顧客は氏名や住所などの情報を何度も繰り返し記載する煩わしさから解放される。企業側は、ブロックチェーンの情報を参照して転居後の住所を自社のデータベースに反映することで、保有する顧客情報を常に最新の情報に保てる利点がある。

 検証では、積水ハウスとKDDIがそれぞれブロックチェーンのデータを管理するノードを持ち、テスト用の顧客データを用意して進める。ブロックチェーン技術には「Quorum」と呼ぶ分散トランザクション処理技術を使う。Quorumは取引の自動化を可能にするスマートコントラクトシステムの構築など企業利用を想定した技術で、ブロックチェーンへのアクセス制御機能を備えている。

 積水ハウスが不動産内覧の申し込みを受けた段階で、KDDIと情報連携する許諾を顧客から得る。顧客が許諾すると、KDDIが保有する顧客の情報がブロックチェーンに書き込まれ、その情報を積水ハウスとKDDIの双方が自社のノードから参照できるようになる。積水ハウスは、顧客の本人確認にKDDIが保有する情報を利用するといったことが可能になる。顧客も内覧のたびに住所や電話番号を申込書に記入する手間がなくなる。

 なお、顧客が情報連携を許諾しなければ、その顧客に関するブロックチェーンの情報は両者が個別に更新を行い、互いの参照はできなくなる。

複数のノード間で間違いなくデータを更新

「複数のノード間で間違いなくデータを更新できることが今回の情報連携基盤の大前提。その点でブロックチェーンの仕組みは有用だった」。日立製作所社会システム事業部社会・通信ソリューション本部デジタルソリューション推進部の吉原潤主任技師は、ブロックチェーン技術を活用する理由をこう説明する。

3社の共同検証に臨む日立製作所のメンバー。左から、システム&サービスビジネス統括本部OSSソリューションセンタBlockchain推進部の江丸裕教主任技師、社会システム事業部社会・通信ソリューション本部デジタルソリューション推進部の淵脇誠主任技師、吉原潤主任技師、仲根伸一部長、社会プラットフォーム営業統括本部第二営業本部第一営業部の久我知也主任