ブロックチェーンは取引に参加する企業が対等な関係で、それぞれのノードに最新のデータを持つ。企業が個別にデータベースを保有する一般的なシステムでは、企業によってデータベースの更新タイミングがずれるなどの理由から、正しい本人確認ができなくなったり、データの不整合が生じたりする可能性があるという。

「複数のノードで分散してデータを処理するシステムを開発しやすい」(同社淵脇誠主任技師)という利点もブロックチェーンにはある。ブロックチェーンは「分散して持つデータが壊れないことが理論上保証されたアルゴリズムを使っている」(同)ためである。情報連携基盤を構築する際、データの信頼性を高めるためにデータベースシステムを作り込んだり、可用性を検証したりする労力が軽減される。

 もっとも、ブロックチェーン技術は現時点では未成熟の面も少なくない。きめの細かいアクセス制御はその一つだ。今回使用するQuorumのアクセス制御機能はいったんアクセスの可否を設定すると、その後の変更が難しく、「設定を変えるには新たにブロックチェーンを作り直す必要がある」(淵脇主任技師)。また、“住所へのアクセスは許諾するが電話番号は不可”といった具合にデータ項目ごとに個別のアクセス権を設定することもできない。

 日立製作所は現在、こうしたブロックチェーン技術の課題を解消して情報連携基盤の実用性を高めるため、暗号化技術の応用を検討している。例えば、ブロックチェーンに書き込まれた情報を暗号化しておき、顧客の許諾内容に応じて特定の情報だけを復号する仕組みを想定している。