情報の改ざんが困難とされるブロックチェーン技術を駆使することで、これまでより緻密に情報を管理するサプライチェーンマネジメントの仕組みを構築できる可能性が出てきた。具現化すれば、原材料の調達から製造、卸売り、小売りを経て、消費者一人ひとりの手にわたるまで、一連の流通経路を「正しく」可視化できるようになる。
サプライチェーン情報にブロックチェーン技術を応用
みずほフィナンシャルグループのシステム開発会社であるみずほ情報総研と、コンビニエンスストア大手ローソンは2018年4月から5カ月にわたり、サプライチェーンを流れる商品一つひとつの動きをブロックチェーンに記録・管理する「個品管理プラットフォーム」のPoC(概念実証)を共同で実施した。サプライチェーンマネジメントへのブロックチェーン技術の応用例は、世界的にもまだ珍しい。
今回のPoCでは、コンビニ店舗で販売する主に食料品のサプライチェーンマネジメントを想定し、大きく三つの観点で個品管理プラットフォームを検証した。ひとつは、メーカー、卸売業者、物流業者、小売業者がそれぞれ複数存在する複雑な流通網における個品のトレーサビリティ。二つめは、ブロックチェーンに記録された情報に対して、事業者ごとに公開範囲を制御する仕組み。三つめは、メーカーから小売業者まで商品が届くまで入出荷のたびに更新される情報の信頼性である。
結論から言うと、トランザクション件数が増えた際の処理性能への影響を軽減する必要性や、事業者ごとに公開する情報をきめ細かく制御するための設計方法など、実用化に向けた課題がいくつか見つかった。しかし、課題が具体的に見えてきたことで、ブロックチェーン技術を用いた個品管理プラットフォームの実現は一歩前進した。