――事業のデジタル変革を行うに際して、外部の人材を採用されたりしていますか。

 私は事業開発の担当もしていますが、その部署では結構中途採用したメンバーがいます。他の企業とアライアンスを組むことが増えているので法務分野の人材とか、未知の業界のビジネス経験がある人材とかです。

業務を知らないと課題を見つけられない

 ただし、デジタル化はコアとなる部分であり、人材は内製化しておかないといけないと思っています。なぜかというと、データを分析するにしても、会社の業務を知らないと、何が課題なのか、何を変革すればいいのかがわからないからです。業務を知っていて変革課題を見つけるためにデータを分析できる、そのような人材を育てたいと考えています。

 現在、そういう人材は数十人ぐらいですが、2023年までに数百人のレベルまで増やす計画です。もちろん当面は、事業開発ではスタートアップ企業とのアライアンスを行い、社内案件では外部の方にアドバイザーとして参加してもらう、という形をとることが多いでしょう。IT子会社のテプコシステムズがデータサイエンティストの研修を行っているので、これも利用します。

 技術・業務革新推進室のような全社横断的な組織には、データ分析などの手法を身に付けた人材を置いて、必要に応じてそれぞれの部門に応援にいくという体制を作りたいと思っています。また、それぞれの部門でもデータサイエンティストを養成し、データ分析をやってもらうつもりです。

――御社の将来像というのはどのように見ていらっしゃいますか。

 弊社の電気事業の将来を考えるうえでのキーワードは「5つのD」です。それは、人口減少(Depopulation)、脱炭素化(De-carbonization)、分散化(Decentralization)、自由化(Deregulation)、デジタル化(Digitalization)です。

 たとえば太陽光発電は脱炭素化の要素の一つですが、さまざまな場所で発電されるので分散化の要素でもあります。もし、太陽光発電と蓄電池を組み合わせ、EV(電気自動車)の充電設備を作るとなると、弊社のグリッド(送電線網)を経由しなくなります。

 弊社の電気事業は、基本的にライセンス事業なので、直接的な意味での競合はありません。しかし、今まで競合と思っていない人たち、つまりディスラプターが現れる可能性があります。したがって、ディスラプターが現れそうな領域は、われわれが先回りしてやろうということで、いろいろチャレンジしています。

 先ほどお話ししたグリッドデータバンク・ラボもその一環です。今後は人口減少に伴って、グリッド(送電線網)自体の事業は縮小していくでしょう。したがって、その上に構築されるサービスを提供していく必要があります。さまざまな企業などとアライアンスを組みながら、データを活用して新たな付加価値を作り出していこうとしているところです。