写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
2018年に始まった三菱マテリアルのDX「MMDX」。当初から経営改革の一環として始まり、2020年度からは3年間で約180億円を投資した。現在は「MMDX 2.0」へと進化し、事業・ものづくり・研究開発の3領域で展開中だ。同社は製造業のDXをどう深化させようとしているのか。「第26回 DXフォーラム」(Japan Innovation Review主催)に登壇したDX推進部・CDO/DX推進部長の端山敦久氏による講演から同社の取り組みを紹介する。
2018年当初から経営改革の一環として始まったMMDX
三菱マテリアルのDX推進は、2018年から進められてきた同社のガバナンス改革に端を発する。ガバナンス改革は、2017年度に発生した品質問題をきっかけに始まった。つまり同社のDXは、当初から、会社が抱えていた問題を根本から改めるための取り組みの一環だったといえる。
2020年度の「デジタル化戦略」立ち上げ後、2022年には、DXが、「CX(Corporate Transformation)」「HRX(Human Resources Transformation)」「全事業の業務効率化」と並ぶ4つの経営改革の1つに位置付けられた。
社内では「MMDX(三菱マテリアル デジタル・ビジネス・トランスフォーメーション)」と銘打ってDXを進めている。ネーミングについて、端山氏は「あえてデジタルとトランスフォーメーションの間にビジネスという言葉を入れました」と説明する。変革の主体はビジネス部門であるという考えに基づいてのことだ。
2023年に発表した「中期経営戦略2030」においてもDXが中核を担う。この中でDX推進本部は、ミッションとして、既存事業のデジタル活用を進める「今を強くする」、新規ビジネスの創出や既存ビジネスの変革を目指す「明日を創る」、取り組みを支える人材を強化する「人を育てる」という3つを掲げる。
2020年度以降の取り組みを振り返ると、実行初期段階フェーズの3年間に約180億円を投資し、課題に対するテーマ設定や経営基盤の強化を進めた。続く2023~2025年度は本格稼働フェーズと位置付け、データ基盤の活用促進やグループ全体への展開を進めてきた。2026年度以降は、さらなる拡大と発展につなげていく予定だ。
着実に成果を上げてきた結果、現在は「MMDX 2.0」として新たなフェーズに入っている。以前と大きく変わった点に関して、端山氏は「製造業としての強みを生かすため、ものづくり領域や研究開発にもDXを広げました」と話す。
MMDX 2.0における取り組みのくくりは、「事業系DX」「ものづくり系DX」「研究開発DX」の3本柱に加え、データ利活用基盤の構築や業務効率化、人材育成・風土改革を進める「全社共通DX」となっている。







