弊社の事業は電気事業法で定められているので、データを活用する際にも法整備などの動向を踏まえる必要があります。また、個人データに関しては個人情報の保護に十分に留意する必要があります。このようなことも考慮しながら、将来を見据えてさまざまな活動をしています。

――このような新しいことをやろうとすると、社内の意識改革も必要だったのではありませんか?

 おっしゃるとおりです。弊社はこれまでどちらかというと自社内で事業をやっていくというカルチャーでしたが、それだとどうしても時間がかかる傾向があります。

スタートアップ企業とアライアンスを組む

 たとえば、宅内に設置したセンサーから得られる電力量などのデータをIoTプラットフォームで提供するエナジーゲートウェイという会社を2018年2月に設立しましたが、そのときはエネルギーIT分野のスタートアップ企業とアライアンスを組みました。

 また、社内で業務効率化を進めるときには、PoC(概念実証)を回すことを習慣づけました。実証実験を行い2、3カ月で継続するかどうかの結論を出すという形で、意思決定を速くする形に変えました。

――技術・業務革新推進室を作ったのもその一環でしょうか。

 それ以前から、デザインシンキングやPoCは手掛けていましたが、この組織を作ることによって、デジタル化の横串を通すことができるようになったのが大きいです。それまで各部署の縦割りだったものを、横の連携ができるようにしたのです。

 技術・業務革新推進室はいろいろな部門が入り交じって、組織のゆらぎができるところが興味深いです。今までの仕事のやり方と違うものが必要ですから。

 設立当初は、カルチャーを大きく変えたいと思ったので、役員の私が直接指示できるように室長になりました。昨年に2代目の室長に交代しましたが。

――三野さんご自身はそういう新しいカルチャーになじみがあったのでしょうか。

 私は東京電力のメインである「電気」とは異なる、通信分野を主に経験してきました。日本自然エネルギーという子会社の社長もやっていたりします。配電、営業、新規事業とかさまざまなことを経験したので、1人の中でダイバーシティができているようなものです。

 このような業務経歴は、私の年代では珍しいほうですが、最近は増えています。とくに2016年の分社化ごろからそのような経験の多様化が加速した感じがあります。