SMBC日興証券と一緒にこのプログラムを開発したのがHEROZというAIベンチャー。前述の「ポナンザ」開発者が所属しているなど、AI将棋プログラムではトップクラスの会社です。ここにきてようやく、“AI投資時代”が本格的にスタートした感じがします。

ロボアドにつきあうための注意点

 今後の資産運用を考えるにあたって、ロボアドとはどのように付き合っていけばいいでしょうか。

 AI技術が猛烈なスピードで進化することを前提にすると、いまはまだ“機械ラップ”のようなサービスでも、今後の成長には大いに期待がもてるところです。まずは低コストのラップサービスとして活用しながら、AIの使い方やノウハウを少しずつ蓄積していくのは賢い考えだと思います。

 付き合い方には2つの注意点があります。ひとつは、ロボアドに人間の手や頭が付加されるかどうか。実際に海外のロボアドでは、アルゴリズムで算出された結果に人間の経験やアドバイスを加えて提案する「ハイブリッド型」が登場しています。現実的なアプローチではありますが、ロボアドそのものの進化としては亜流ですし、コストアップの要因にもなります。人間が介在するロボアドかどうかの注意が必要です。

 2つめは、1つめと関連しますが利用コストの点。ロボアドが進化して運用実績がより向上するようになると、投資家が負担するコストが増える可能性があります。ロボアドが金融機関の付加価値になり、収益源として期待されてしまうからです。また、個人向けには機能を限定して、より大きな収益が期待できる金融機関向けにサービスをシフトしていく可能性もあります。そのような兆候が見えた場合は、資産運用の目標(期間や金額)を確認したうえで、ロボアドを利用する価値を改めて問い直してみたいところです。