運用能力は未知数

 ここまで読んで「聞いたことがある提案内容だな」と感じた方は多いと思います。確かに従来からある「ラップ口座」と似ています。実のところ、現状のロボアドが提案する内容(計算結果)そのものは別段、目新しいものではありません。

 これまで過去の実績データと人間の経験に基づいて算出されていたポートフォリオが、コンピュータのアルゴリズムで簡単に提供できるようになったことで、ロボアドは低コストでのサービスが可能になっています。ラップ口座(ファンドラップを含む)では、年間預かり資産のおおよそ3%程度かかるといわれる管理コストが、ロボアドなら同1%以下に抑えることが可能。極論ですが、ロボアドは低コストのラップ口座と理解することもできます。

 そこで、ちょっとした皮肉を込めてロボアドを“機械ラップ”、ラップ口座を“人間ラップ”などと呼ぶ人もいます。

 ロボアドの運用能力については、サービス開始からの期間がまだ短いこともあり、いま巧拙を言及するのは難しそうです。一部には、投資対象を国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・先進国のリート(不動産投資信託)の8つに均等投資する、より低コストのインデックス投信と運用実績がそう変わらないという指摘もあります。まだまだ未知数ということになるでしょう。

AIはこの先50年、人間に勝てない?

 AI(人工知能)と合わせて語られることが多いロボアドですが、実のところ「本格的にAIを活用した個人向け投資アドバイスサービス」はほとんどありません。

 AIの定義はさまざまですが、「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」と捉えることができます。現在では、機械学習のひとつであるディープラーニング(深層学習)がブレイクスルーとなってAIに注目が集まっています。機械学習によってビッグデータを解析し、予測することが現状の“AI”の条件のひとつといえるでしょう。