機械学習とは、大量のデータを読み込ませて見つけ出した分類・パターンによって、コンピュータが自律的に推論できるようにする技術のこと。ロボアドでは、運用モデルの一部や株価下落要素がある出来事の予測などで機械学習を用いたりしていますが、現在のAI技術の中核であるディープラーニングはほとんど使われていません。
また、とくに機械学習のプロセスがブラックボックス化しやすい、相場の転換点などの突然の市場変化に弱いなどの弱点が指摘されています。「突然の変化で頼りになるのは人間が得意とする“一般常識”。これを持たないAIは、この先50年は人間に勝てない」と指摘する専門家もいるほどです。
本格的な“AI投資時代”へ
AIはこの先50年、人間に勝てない――。そういわれながらもあっという間に人間に勝ったAI分野があります。将棋プログラムへの応用です。
AI将棋プログラム「Ponanza」(ポナンザ)は2017年5月、プロ棋界最高位のひとつである名人に勝ちました。ポナンザの開発当初だった約10年前、プロ棋士たちの評価は「ようやくここまできたとはいえ、トッププロのレベルまで50年はかかるだろう」というものでした。それを10年で実現してしまったのです。プロ棋士の間では現在、AI将棋プログラムが人間より強いことは当然のこととして理解されるまでに進化しています。
将棋というゲームと投資を同じに語ることはできません。しかし、AI技術の進化スピードがわたしたちの想像を遥かに超えたものであることは間違いなさそうです。
実際に、本格的なAIと組み合わせた個人向け投資サービスが動き出しました。SMBC日興証券が2019年3月にスタートさせた「AI株式ポートフォリオ診断」がそれです。大きな特徴は2つあります。
ひとつは投資家の資金や保有株式、リスク許容度に合わせて、より効率的な株式ポートフォリオを提案すること。もうひとつが、ディープラーニング手法を用いて学習させた株価予測AIによる期待収益性のスコア化です。