AIとの連携でさらなる発展が見込める

 現在のRPAツールのほとんどは「クラス1」だと述べたが、AIと連携させることでより高度な自動化を可能にする取り組みも行われてる。

 例えば、前項で取り上げた富士運輸の実証実験ではドライバー向けに、運転中に音声エージェント(AI)の問いかけに答えるだけで日々の日報作成や業務の記録ができる仕組みを提供している。作成された日報データは自動でクラウド上にアップロードされるため、事業所に戻ってきた後に改めて日報を作成・提出する必要が無くなるのだ。そして先述の通り、その日報を事務員が確認する作業は自動化されている。

 また、2018年11月20日にNTTコミュニケーションズが、対話型AIエンジンとRPAを組み合わせてコンタクトセンターの応対から事務処理までのプロセス全体を自動化する「コンタクトセンターDXソリューション」の提供開始を発表している。AIとRPAをメインにコンタクトセンターの業務を完結させることで、電話オペレーターや店舗従業員はより顧客体験の質を向上させるための業務に注力できるようになる。

 汎用型AI(AGI)の完成や「シンギュラリティ」の到達にはもう少しかかるだろうが、ツールと特化型AIの組み合わせよる単純作業の自動化は急速に進んでいきそうだ。

 労働力の減少が避けられない以上「自動化」の流れは止められない。ツールやAIの進化によって自動化できる業務も増えていくだろう。RPAを導入しさえすれば業績が上がるわけではないが、「この業務を自動化したい」という明確な目的があるのなら、該当するツールや先行事例を探してみると良いだろう。

 RPA導入を成功させるには、どの部署のどの業務をどう改善したいのかという目的を明確にすること。そしてPoCの段階で、実際にツールを使うことになる現場の意見をしっかりと汲み取ることが必須条件となる。今後ますます貴重なものになっていく「人」材に、より価値の高い業務を任せるためにもRPAを有効活用して欲しい。