審査員はボランタリーの生徒の父母が多いようである。審査員の用紙にはするべき質問が2問記されており、どの生徒にも同じ質問をし、生徒の回答ぶりで点数をつける。このような方式なので、素人の父母が審査員になれるよう工夫されている。

 科目によって、生徒が1人の場合も2人の場合もあるし、数人でパネルを使ってプレゼンテーションをしているものもあった。

 ここまでクリアすると、生徒には次のような証明書が渡される。しかしこれは、DECAメンバーであることの証明というくらいの意味しかないようだ。

生徒に渡された証明書。

 3日目の夜にはコンサート(DECA Concert)が用意されている。会場は再びメルセデス・ベンツ・スタジアム。主役は、若者に絶大な人気を誇るシンガーソングライターのアンディー・グラマー(Andy Grammer)。

 生徒達の歓声は今でも耳に残る。展示ホールやこのようなエンターテインメントを織り交ぜているところが高校生をICDCに惹きつける一因ではないかと思う。

 残念ながら4日目には参加できなかったが、メルセデス・ベンツ・スタジアムで、予選のトップ20の生徒が発表され、彼らが決勝(Final Competition)に参加できる。科目によるが、平均して1科目200人が参加しているので、トップ20は1割くらいに絞りこまれるということだ。

 そして夜には、決勝を勝ち抜いた各科目の優勝者が発表される。その盛り上がりは想像に難くない。優勝すると大学入試において、かなり良い(“pretty good”な)評価が得られると生徒から聞いた。

アントレプレナーシップ教育の世界標準

 我が国においては圧倒的に起業家の数が少ない。そこを変えるには高校までの教育を万事受け身のスタイルから、課題探索・解決型、自ら学ぶアクティブラーニング型に変えていかなければならない。

 それには、高校生のアントレプレナーシップ世界標準ともいうべきDECAの活動に、日本としても参加し、まず高校生のときから世界に並ぶマインドを持ってもらい、その上で大学・大学院における起業家教育でさらにビジネス実務に近い技能を磨き、世界に伍する起業家を日本から輩出するようにしていくことが必要であろう。