第三には、ゲームの多用である。スマホのゲームではなく、自ら体を使うゲームである。一番面白かったのは、サプライチェーンマネジメントのところで、教室の隅から隅、対角線上に置かれたバケツにキャンデーを投げ入れるゲームで、入れば5点もらえるというもの。しかし、投げる者は膝を床につけなければならず、どうしても途中に中継する者を置く必要がある。1人置くごとに1点が引かれる。そしてチームごとに点数を競わせる。
生徒たちは中継者を何人、どこに配置するかを戦略的に考え、真剣に取り組み、キャンデーがゴールに入るたびに大歓声が挙がっていた。そのときはなぜこんなゲームをやらせるのか分からなくても、後で振り返れば体で覚えているのでその含意が分かるのではなかろうか。
このようなゲームはオリジナルかどうか先生に聞いてみると、オリジナルのものもあるし、同僚からアイデアをもらったものもあるということであった。
第四に、このようにワイワイ楽しくやりながら、実はSWOT分析やビジネスモデルキャンバス(Lean Start-Up Business Model Canvas)、バランスシートといった、起業に不可欠の知識が散りばめられていることである。
GTEで用いたビジネスモデルキャンバス(Lean Start-Up Business Model Canvas)。それぞれの枠を埋めていくと、ビジネスモデルができあがる。
財務諸表については、日本の高校生にはまるで初めてで、かつ、授業の最後の方で時間が押せ押せの中での説明であったため、消化不良の感は否めなかったが、プログラム全体の日数を増やしてでもしっかり説明した方がいいだろうと思った。
その他、チームディスカッション時にはポップな音楽を流したり、雰囲気作りのうまさはとにかく脱帽であった。