――経営層がそうした判断をし、現場を説得するためには、やはり何かの基準が必要ですね。
秋元 はい、会社が目指す“ビッグピクチャー(全体像)”を可視化して共有することが大事です。ビックピクチャーの中でオープンイノベーションがどのような位置づけなのかが明確になれば、意志決定がしやすいですし、現場の説得も進めやすい。オープンイノベーションの具体的な進め方は、それこそ半年単位でどんどん見直せばいいのです。
――しかし、組織を独立させたり別の評価制度を適用したりさせるには、時間も手間もかかります。
秋元 最初はライトスタート(軽めの取り組みの開始)でかまわないと思います。とりあえず2~3年、取り組んでみる、その中でスタートアップ企業と交流して情報やアイデアを得たり、オープンイノベーションの可能性を検証したりする。
ただ、ライトスタートでも自社が何をスタートアップ企業にGive(提供)できるのかを真剣に考えなければいけません。スタートアップの経営者に「その場限りでうまく利用されるだけ」と思われたら、彼らも本気にはなれません。オープンイノベーションを通じてスタートアップ企業と一緒に成長し、共に利益を分かち合う。そのような枠組みを早期に設計することが必要です。
経営層のビジョンが明確なら動きやすい
――トランスリンク・キャピタルはSOMPOホールディングスのコーポレートベンチャーキャピタルファンドの運用を担っています。近年、SOMPOホールディングスはデジタル戦略の推進で話題を呼んでいます。