秋元 今一緒に取り組ませていただいているのですが、SOMPOホールディングスには、CDO(最高デジタル責任者)の楢﨑浩一さんをはじめ“一人称”でデジタル戦略、オープンイノベーションを語ることができる経営層が何人もいらっしゃいます。おかげで、お手伝いするVC(ベンチャーキャピタル)としては意味のある出資先を探しやすいですし、先方と交渉の仕方についてもあまり迷うことがありません。
――SOMPOホールディングスのコーポレートベンチャーキャピタルファンドでは、どのような企業に出資しているのでしょうか。
秋元 実質的に2017年9月からスタートして現在1年ほどが経過し、複数社に出資しています。日本企業もありますが、イスラエルの企業にも出資しています。
例えば出資先の1社、Guardian Optical Technologiesは自動車の搭乗者の状況をモニタリングするマイクロモーションセンサー技術を開発しています。この技術は、誰が搭乗しているかを認識し、個々人の微細な挙動までも高精度に感知することができます。事故抑制のための安全技術をはじめ、幅広い用途に応用される技術としてメーカーからも注目を浴びています。
また、Sensefreeという会社は、非侵襲型の血圧測定機器を開発しています。精度の高い血管動態モニタリングセンサーの技術を持っており、細かく血圧を測定できることが特徴です。動脈にカテーテルを刺すタイプでは患者に負担がかかりますし、腕に巻き付けるカフタイプでは5分ごとにしか血圧を計測できません。将来はコンシューマ向け製品の開発も目指しています。
コロコロ変わる人事異動への対処法
――日本の大企業では定期的な人事異動があり、オープンイノベーションの勘所をつかんだ担当者が次の定期異動でいなくなるというケースがままあります。
秋元 悩ましい問題ですね。手前味噌になりますが、オープンイノベーションの取り組みに我々のような外部組織をかませることで、前任者のノウハウを新規のご担当者に引き継ぐことが比較的やりやすくなるはずです。