このほかにも「後発組」と呼べる規格がある。2018年以降にサービス開始が予定される「EnOcean Long Range」やソニーが開発したLPWAである。本稿では詳述しないが、今後の動向は注視しておく必要はあろう。先行組とは違った魅力的な特徴を持っているからである。

 EnOcean Long Rangeは、環境発電と呼ばれる「エネルギー・ハーベスティング」を採用。振動や熱から電力を得ることで、電池不要の無線ネットワークの構築が期待できる。ソニー製LPWAは100kmの通信距離と、時速100km以上の高速移動での利用を可能にする。ほかに、セルラーLPWA並みの信頼性やセキュリティ面での高機能性を打ち出した「Weightless-P」も、後発組として誕生した。適用領域の広さや実績によっては、将来的に先行組のLoRaとSigfoxの対抗馬になる可能性がある。

LoRa:多数の企業が参加するオープン性が特徴

 2014年にサービスが始まったLoRaの名称は、「Long Range」に由来する。何より特筆すべきは「オープン性」だ。LoRaのデバイス開発を担ってきた米セムテックなどは、2015年に非営利団体「LoRaアライアンス」を設立。2017年末までに、米IBMや米シスコシステムズといった大手IT企業をはじめ、550社以上が同アライアンスに参加している。LPWAの一大勢力を形成しているLoRaアライアンスは、世界中でLoRaによるサービスが次々と生まれて拡大する原動力となってきた。

 LoRaは免許を必要としないサブギガヘルツ帯(900MHz周辺。国内では920MHz)の電波を使い、通信距離は見通しがいいところで約10km、都市部でも約2kmを確保できる。通信パケット(データのひとまとまり)のサイズは最大256バイトで、200~10kbpsの速度で通信する。

 LoRaはレーダーやソナーで使われてきた技術などを応用することで、無線データ通信に影響をおよぼすノイズへの耐性を上げている。ノイズに強いことは、無線ネットワークに接続した機器の電波受信感度を高め、長い距離のデータ送受信を可能にする。

 LoRaを用いたシステムの構成を図1に示した。中心に位置するLoRa対応ゲートウェイを「基地局」にして、複数のLoRa対応センサーがつながる。ちょうどルーターに複数のパソコンやスマートフォンがつながる無線LANのようなイメージである。

図1 LoRaのシステム構成

 ゲートウェイとセンサー群からなるこの無線ネットワークを、LoRaの基本構成である「島」ととらえてほしい。LoRaでは、たくさんの島々を展開してネットワークサーバー(クラウド)に接続することにより、広範囲の無線ネットワークを形成する。

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52104