ここで言う広範囲とは、「東京ドーム何個分」といった“小さな規模”の話ではない。LoRaのカバーエリアは、オランダや韓国ではすでに国全体に広がっている。インドにおいても2017年10月の段階で人口4億人を数える地域をLoRaでカバーしている。

Sigfox:唯一の事業者が提供するサービスを利用

 Sigfoxは仏シグフォックスが2009年に開発し、2012年にサービスを始めた独自仕様のLPWAで、LoRaと同じく国内では免許不要帯域の920MHzの電波を使用する。

 通信距離は見通しのいいところで30~50km、都市部で3~5kmと、LoRaより長い一方で、通信速度は10~1kbpsと低速の規格になっている。低速ではあるが、センサーからは1日最大140回、毎回最大12バイトのデータを送信できる。LoRaに比べ、Sigfoxは少量のデータを繰り返し送信する用途に向いていると言ってよいだろう。

 また、LoRaと比較してSigfoxの消費電力は低い。LoRaより通信距離が長いので少ない数のゲートウェイで無線ネットワークを構成すれば、たくさんの「島」を点在させて広範囲をカバーするLoRaより、全体として消費電力とコストを低く抑えやすい。

図2 Sigfoxのシステム構成

 SigfoxがLoRaと決定的に異なる点は、Sigfoxによる無線データ通信のサービス事業者が原則として「一国・一社」になっていることである。シグフォックスと提携して各国でサービスを提供する事業者「SNO(Sigfox Network Operator)」が、基地局となるゲートウェイからネットワークサーバー(クラウド)までを一手に整え、ユーザー企業に提供する。

 ユーザー企業が必要に応じて「島」を次々と増やし独自にLPWAの無線ネットワークを拡張できるLoRaのような自由度はない。その代わり、ゲートウェイの設置やクラウドを含むシステムの運用を事業者任せにできる。ユーザーはセンサーを用意するだけで、無線ネットワークの利用を始められる。もちろんSNOがサービスを提供するエリアであれば、どこでも同じ規格のセンサーと同一のクラウドを使える。

 日本では、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が唯一のSNOとして、2017年2月に東京都23区内でSigfoxのサービスを開始した。同年3月には大阪市、横浜市、川崎市にサービスエリアを拡大。2018年3月までに政令指定都市を含む36の主要都市に広げる。そして2019年3月までに人口カバー率で85%、2020年3月末までに全国展開(人口カバー率99%)を目指している。