手書きPOPが空中に?書店はITでまだまだ楽しくなる

ARアプリ「POPSTAR」が広げる書店の可能性

鶴岡 弘之/2017.7.26

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 開発したのはアプリ開発会社の「雷公鞭(らいこうべん)」(東京都港区)である。書店の新しい体験を生み出す、このユニークなARシステムはどのようにして誕生したのか。角舘浩太郎社長に話を聞いた。

さわや書店のPOPがアイデアの基に

──「POPSTAR」開発のきっかけを教えてください。

角舘浩太郎社長(以下、敬称略) デジタルハリウッドが運営するプログラミングスクールでプログラミングを学んでいたとき、デジタルハリウッドと日販(日本出版販売)が共催で「書店体験を変えるIoTプロダクト」というテーマのハッカソンを開催しました。そのハッカソンに参加して開発したのがPOPSTARです。

(注:デジタルハリウッドはクリエイターやプログラマーを養成する専門スクール。日販は書籍や雑誌の取次会社)

──なぜPOPに着目したのですか。

角舘 私は盛岡の出身なのですが、中学、高校時代に地元のさわや書店によく通っていました。さわや書店のPOPはすごいんです。異常なくらいに書き込みの量が多く、密度が濃くて。とにかく圧倒的で、この店は大丈夫なのかっていうくらいに(笑)。

 そうしたさわや書店のPOPが強く印象に残っていたので、POPを使って何かできないかなと。あと、VR(仮想現実)とかARにもすごく興味があったので、ARでPOPを出したら面白いんじゃないかと思ったんです。

──さわや書店のPOPは確かに熱量がすごくて、鬼気迫るものがありますね。

角舘 もはやそれ自体が「作品」というか、本とは別の価値があるんですよね。そうしたPOPを見て育ちましたので、POPの価値をもっとみんなに知ってほしいという気持ちがありました。

 また、多くの書店で、古いPOPは捨てられてしまうそうなんです。書店員さんがあれだけ力を入れて書いているのに、1回掲示しただけで捨ててしまうのはもったいないですよね。データベース化すれば過去のPOPも再利用できるのにという思いもあり、POPSTARを開発しました。

──さわや書店が期間限定で導入したのは、どんな経緯だったのですか。

角舘 POPSTARはハッカソンで最優秀賞をいただくことができました。優勝チームの代表としてネットメディアのインタビューを受けたとき、「今回のアイデアはさわや書店さんからインスピレーションを受けています」という話をしました。さわや書店さんがその記事を見て、「これ、面白いからうちでやろう」と声をかけてくださったんです。