「自動運転」が世界を騒がせている。数年前までは、話題になるとしても夢物語のような文脈でしかなかったが、最近では国内外の自動車メーカーが具体的なビジョンとして語るようになってきた。
これからの自動車の世界は、どのように進化し、そこではどのようなビジネスモデルが描かれるのか。そして、多くのメーカーがひしめき合う中で、どのような差別化が行われるのだろうか。そこにメーカーの個性は残るのだろうか。
そして今、進化著しい自動車の世界で、PC向けの半導体などで知られるインテルがその存在感を高めつつある。これまでも車載向けのソリューションを提供し、そして現在では自動運転のための取り組みにも大きく舵を切っている。もはやPCの半導体の会社というイメージは変わりつつある。インテル 執行役員 Automotive担当の大野誠氏に、自動車事業におけるビジネス戦略や今後のビジョンを聞いた。
――そもそも、インテルが自動車の分野で取り組んできたことは。
大野誠氏(以下、敬称略) インテルは自動車ビジネスに本格的に参入してから、これまでさまざまな自動車メーカーやティア1(1次請負)メーカーと、車載情報機器、すなわちインフォテイメントのシステムに取り組んでいます。この何年間かで、ワールドワイドで30モデル以上の自動車に我々のソリューションが採用され、国内でも主要な自動車メーカー数社で採用されています。
業界として取り組みが加速している自動運転だけでなく、今後も車載のインフォテイメントのシステムも膨大な量のデータを扱うことになるでしょうから、それにも力を入れていこうと考えています。
――どのようなプロダクトの開発を進めているのでしょうか。
大野 ユーザー体験の設計として、クルマと運転者の接点となるヒューマンマシンインターフェース(HMI)、たとえば、カーナビゲーションシステムやヘッドアップディスプレイ、メータークラスターなど、コックピットのソリューションが非常に重要なカギを握ると考えています。
例えば、運転者が自動運転のクルマに乗って、マシンに身を任せるといったときに、どうやって安全に安心に、気持ちの上でも自動運転を実現していくか、ここの研究もあわせて推し進めています。