4月20日、大阪市内で唯一の総合周産期母子医療センターである愛染橋病院(大阪市浪速区)に、様々なメディアの記者が集まりました。
愛染橋病院の60代の副院長が過去に、飲酒後にお産に立ち会ったということが判明して、院長が謝罪会見を開いたのです。
「飲酒した状態で診察した」という部分だけを見ると「不届きな医師がいてけしからん」と思われるかもしれません。しかし謝罪会見の質疑応答から、副院長は正規の当直の際に飲酒していたわけではないことが分かりました。
出産や緊急手術など人手が必要な事態はいつ発生するか分かりません。もちろん、当直医師が若手であったり非常勤医師であった場合にも発生します。そうした時に、非番で少しお酒を飲んでいた副院長が善意のボランティアとして病院に来て、お産を手伝ったりしていたということなのでしょう。医療現場ではよくある話です。
もちろん「病院に来て仕事をする以上はお酒が入った状態ではまずい」という意見もあるでしょう。しかし、そう言い出すと、かなりの確率で発生する救急事態に対応しなければならない産婦人科や外科などの医師は、365日24時間お酒を飲んではいけないということにもなりかねません。
では、いったいどうすればよいのでしょうか?
実はこの騒動の裏には、前回のコラムで取り上げた「宿直」とはまた別の、「オンコール」と称される医師のグレーゾーン時間外労働問題が存在するのです。
自主的なボランティア「オンコール」
多くの病院では、正規の当直医師は1人しかいません。そのため、人手を要する緊急処置が必要な患者が来た場合には、応援医師が必要になります。
また、周産期医療センターのように医師が2人で当直していたとしても、2人の医師で緊急手術に入ると、手術時間の間、病棟や救急外来を見る医師が不在になってしまいます。そのため、誰か別の医師を病院へ呼び寄せる必要が出てきます。
当直していない医師がそれに備えて、病院にすぐに駆けつけられるような範囲内にいることが「オンコール」です。
救急ではどんなことが起こるか分かりません。最善の医療を提供するには、サポートスタッフをすぐに呼び寄せられる体制が必要です。そのことに異論を唱える人はいないでしょう。
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