3月11日の東日本大震災から3カ月が経とうとしている。

 お彼岸前の、まだ寒さの残るあの日から、桜の遅い春を経て、関東の5月は雨がちの週とよく晴れた週が交互に来る、天気が分断された月だった。

 夏に向けて電力不足が懸念される中、新聞やテレビのニュース番組は省エネ対策の特集を盛んに組んでいる。昨年の夏はずいぶん暑かった記憶があるが、喉元過ぎれば熱さ忘れるというか、暑さ寒さも彼岸までというか、正直なところ、どのような夏だったのかを私はあまり覚えていない。

 しかし今年は、福島第一原発の事故との関係で、忘れようにも忘れられない夏になるだろう。

 被災した三陸沿岸から房総半島にかけての方々、そして福島第一原発の事故により避難を余儀なくされている方々も、肉体的・精神的疲労が限度に達しているのではないかと思う。遠く離れた埼玉の地からエールを送るのは誠に気が引けるのだけれど、あまり頑張り過ぎず、丸3カ月という区切りに、どうか身体を休めて、気持ちもゆるめていただきたいと思っている。

                ★     ★     ★     ★

 5月中旬には、福島第一原発の1号機、2号機、3号機で、地震発生からほどなくしてメルトダウン(=炉心溶融)が起きていたことを東京電力がついに認めた。

 震災の直後から、専門家の間では燃料棒がメルトダウンしていることは常識だったという。ただし、メルトダウンした燃料が圧力容器の下に溜まったままだったので、低い水位でも冷却ができた。政府内でも「神の恵みだ」と安堵の声が出た。

 もっとも、ことはそう簡単ではない。溶けた燃料は外側こそ冷却されて固まっているものの、内部は2000~3000度もの高温のマグマ状になっている。1号機と3号機では圧力容器の底に穴が開いている可能性があり、溶けた燃料に直接触れた超高濃度の汚染水が大量に漏れだしていると見て間違いない。

 それだけでも大事だが、もしもこの状態でマグニチュード8クラスの余震が起きれば、その衝撃で冷え固まっている溶融燃料の外側が割れたり、ヒビが入ってしまうかもしれない。そうなれば内部にある高温の燃料が冷たい水に触れて水蒸気爆発が起き、これまで以上に大量の放射性物質が外界に放出される危険性がある。