物語中、サントリーの「響」やラーメンやスシなど日本ものが多く登場する。おそらくプロデューサーでもあるマイクル・コナリーの趣味なのだろう。ボッシュの家の壁に「用心棒」のポスターが貼ってあり、「おれの好きな映画だ」といわせている。

 このボッシュシリーズを全編見られただけでもアマゾンプライムに加入した価値があったが、他にも「S.W.A.T.」や「ハンド・オブ・ゴッド」や「Mr.&Mrs.スミス」といったテレビドラマが目白押しである。これでまた当分は楽しめるなと思ったが、それぞれの1話を見てみると、いずれも期待外れの内容である。

 わたしが好きな作家リー・チャイルドのジャック・リーチャーシリーズも「REACHER~正義のアウトロー」としてドラマ化されている。が、これもよくない。原作者がクリント・イーストウッドをイメージして書いたといっているのに、主役はボディビルで人工的に作った筋肉の大男というだけのウドの大木みたいな男である。なんか川勝平太前静岡県知事みたいなことをいってるな。

 アマゾンプライムでいいことは、日本未公開だった映画(例えばリーマンショックを描いた『マージン・コール』やフランス映画の『孤児院』)や、店にDVDがなかった映画(例えばチェイニー副大統領を描いた『バイス』やジョン・トラボルタ主演の『シビル・アクション』)などが見られることである。

 ただそれでも、候孝賢の『非情城市』がない。この映画をもう一度見たいのだが、DVDは1万5000円近くする。もしかしたら最大の作品数を誇るU-NEXTにはあるのか。

 若い知人は、NetflixとDAZNとアマゾンプライムに加入しているという。わたしは当分、アマゾンプライム以外の配信サービスに入るつもりはない。どうしても見たい映画やスポーツ中継があるわけではないからである。音楽やお笑いは論外である。井上尚弥の試合も我慢することにしよう。