米ヤフーと、同社が資本参加する中国の電子商取引大手、アリババ・グループ(阿里巴巴集団)が15日に共同声明を出し「アリババと、米ヤフー、ソフトバンクの3社が、決済サービス事業の所有権移転の問題の早期解決に向けて生産的な協議に入っている」と発表したが、この問題、米ヤフー側とアリババ側の思惑が異なるため早期には解決しないだろうと海外メディアが報じている。

両者で異なる言い分

ヤフーの第1四半期決算、純利益5億4200万ドル

ヤフーにとっては寝耳に水の子会社売却だった?〔AFPBB News

 これはなんとも不可解な話である。

 米ヤフーが5月10日に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類で明らかになったのだが、それによると、アリババは傘下の決済サービス事業、アリペイ(支付宝)を、株主や取締役会の承認を得ずにアリババ創業者のジャック・マー(馬雲)会長の別会社に移転したというのだ。

 ヤフーによると同社がこのことを知らされたのは今年の3月31日。アリペイの所有権は2010年8月に移されており、ヤフーの連結決済から外されたことも3月31日に分かったというのがヤフー側の説明だ。

 しかし、アリババは13日に声明を出し、このことは2009年7月の取締役会で既に報告したと反論している。

 アリババがアリペイをマー会長の会社に譲渡した理由は、中国政府の新たな外資規制。アリババは、このアリペイの決済システムを同社グループの電子商取引サイト、タオバオ(淘宝網)で使っているが、もし譲渡していなければ、政府から事業免許を取り上げられ、タオバオの運営に多大な影響が及んだと説明している。

隠蔽疑惑も浮上

 米ヤフーはアリババの株式の43%を、ソフトバンクは33%を所有している。アリババは大株主の2社に対し、2009年から幾度となくこの計画に関する情報を提供してきたと説明しており、双方の主張は真っ向から対立している。

 これを受けて、米ヤフーの株価は5月10日からの3日間で約11%下落した。米ウォールストリート・ジャーナルによれば、投資家は今後アリババが同様のことを行うのではないかと見ており、米ヤフーの持つアリババ株の価値が下がることを懸念しているという。