米グーグルが年に1回開催している開発者会議「グーグルアイオー(Google I/O)」が今年も開幕した。初日の音楽サービスの発表に続いて、2日目の11日には新端末「クロームブック(Chromebook)」を発表して、話題になっている。
これはグーグルが自社開発した基本ソフト(OS)「クロームOS(Chrome OS)」を搭載した端末。同社のウェブブラウザー「クローム」を中心に据えたシステムで、OSとブラウザー以外のすべてのアプリケーションはインターネットのクラウド上のものを使うというのが特徴だ。
従来のパソコンのように、ユーザーがアプリケーションをアップデートしたりする必要はない。
またデータもクラウド上に保存するため、バックアップの手間も要らず、パソコンが壊れたり、紛失したりしてもデータは無事だ。このほかハードディスク(HDD)の代わりに半導体ディスク(SSD)を搭載しているため動作が速く、「わずか8秒で起動する」というのも売り文句だ。
端末は6月15日に米国、英国、フランス、ドイツなど7カ国で発売する。日本はこれに含まれていないが、同社は今後数カ月以内にほかの地域でも発売するとしている。米国ではオンライン小売大手のアマゾン・ドットコムと家電小売大手のベスト・バイで販売。
まずは韓国サムスン電子と台湾エイサーが第1弾を出し、価格は350~500ドル程度。無線LAN(Wi-Fi)のほか、携帯電話の第3世代(3G)ネットワーク接続に対応するモデルも用意する。米ウォールストリート・ジャーナルの報道によれば、東芝も対応端末を準備しているもようだ。
音楽保存サービスや映画レンタルも開始
グーグルの狙いは、こうしたクラウドを基盤としてアプリケーションとサービスを提供することだ。
例えばアプリケーションはネット上の「クロームウェブストア」で無償提供したり販売したりするが、同社のアプローチはアプリケーションをデスクトップにダウンロードさせるのではなく、単にブラウザーで使えるようにすること。
アプリケーションはブラウザーから入力されるデータをもらってクラウド上で動作し、その結果をブラウザーに返すだけ。つまりパソコン上には何も保存しない。
開発者会議の初日に発表した音楽保存サービス「ミュージックベータ・バイ・グーグル(Music Beta by Google)」も同様のアプローチだ。