もう一つ、大事なことがあります。私たちは日々、多くの人と遭遇します。気が合わない人、話が通じない人、圧が強い人、プライドが高い人、いつも怒っている人、なぜか敵意や嫉妬を向けてくる人もいます。中には危うい人も潜んでいるかもしれません。

 こうした相手を前にして、怒りをむりやり我慢したり、つい怒って後で自分を責めたりしても、意味はありません。同じパターンを繰り返すだろうし、相手も変わらないからです。

 しかも腹立たしいのは、一人だけではありません。外の世界は、他人ばかりです。部屋を出れば家族が、家の外にはご近所が、さらに職場や学校、その向こうには社会が広がっています。今やSNSやインターネットでも、見知らぬ他者と遭遇します。

 これほど多くの人に囲まれた広い世界に、私たちは、心一つで向き合っているのです。なんと頼りないことか。

 とはいえ、逃げ出すわけにもいきません。生きていかねばならないのは、この世界の内側です。向き合うべきは、自分以外の人たちです。

 ならば、できることは何か。確実に言えることは一つ、心に技を持つことです。

 つまり、怒りを感じた時に、どう対処すればいいかが、わかること。「正しく怒れる人」をめざすのです。だからこの先は、こう考えることから始めてください。

 一、怒りを我慢しない
 二、自分を責めない
 三、怒りを感じたら、技を使おうと考える

 技があるから、何があっても大丈夫――そう思える自分をめざすのです。

ストレスと闘う日々にやすらぎを取り戻す 怒る技法』(草薙龍瞬著、マガジンハウス)