米国で教会離れが進んでいる(写真はニューヨークのセント・パトリク大聖堂)

 米国ではいま、多くの教会が急速に閉鎖に追い込まれている。

 米国人がキリスト教から離れ始めているからである。米社会でいったい何が起きているのか。

 全米にはいま約38万の教会があるといわれているが、米東部コネチカット州にあるハートフォード宗教研究所は、「今後20年で30%の教会が存続できなくなる可能性がある」という報告結果を発表した。

 米国では過去何世紀もの間、教会は宗教活動の場であるだけでなく、地域社会の中心であり、新しい人と出会う場所でもあった。

 将来の伴侶と出会うことも多かったし、そこで結婚式を挙げ、子供に宗教の重要性を教えもした。

 ただ、今そうした伝統的な価値観が揺らぎ始めている。

 教会の衰退はすでに数字に表れている。

 首都ワシントンにあるピュー研究所の調査によると、2020年、自身をキリスト教徒と認める米国人は64%でしかなくなっていた。

 それに対し、米国人の30%がいま「無宗教」であると回答している。

 1972年にはキリスト教と答えた人は92%に及んでいたが、信徒数は減少の一途を辿っているのだ。

 ちなみに、ユダヤ教、イスラム教、ヒンズー教、仏教と回答した人は合計で全体の6%である。

 キリスト教徒が減り続ける理由を探ると、興味深いことが浮かび上がってきた。