現・タリバーン政権のアフガニスタンに必要なもの

 「アフガニスタン」と聞くと、「戦争」「テロ」「タリバーン」など、悲しい事件の印象が強いかもしれません。しかし、アフガニスタンという国に暮らしている方々の多くは、優しく、穏やかで、親日的で、日本のことをたくさん知りたがっている。日本のアニメ、音楽、ファッション、グルメなども大好きです。

 そして、イスラムの教えを大切に守っている方々がアフガニスタンにはたくさんいます。イスラムの教えの原点は「寛容の精神」。困ってる人がいれば寄り添い、できることで支えていく。お互いが連帯の力を持ち、寛容の心で、イスラムの教えで支えていく。ほとんどのアフガニスタンの方々が、敬虔なイスラム教徒として、こうした思いを持っているんです。

 一方で、テロ事件を起こした過激派組織「IS」など、かなり強硬な姿勢の人々もいれば、タリバーンの中にも融和路線をとる人もいます。アフガニスタンという国自体が、さまざまな考え方に揺さぶられています。

 そんなアフガニスタンに対して必要なのは、世界各国が連帯し、この国を「孤立」させないこと。

 なぜなら、過激派が孤立した状態で国家体制を保とうとすると、同様の思想を持った武装勢力やテロ組織が世界中からこの地域に集まり、資金や情報や武器を整えて、世界各国に派遣されていく、いわば「テロの拠点」といった場所になってしまうからです。

 テロを温存させる力が深まらないように、オープンに風を通していく。たとえ国家承認がなくても、民間のなかでの外交、NGO、国連の繋がりのなかでできる支援があります。教育・医療の支援、道路・橋・空港などの交通網やインフラの整備など、それぞれの国が得意とすることで支え、連絡、人脈、情報のルートの繋がりを常に保っていくことが大切だと考えています。

 医療支援の遮断、貧困、ケシ栽培などの問題も含め、仮にタリバーン政権が厳格な支配によって国民を締めつけているとしても、世界各国の連帯によって、アフガニスタンを支え、孤立させないこと。それが現在のアフガニスタンに必要なことだと感じています。