世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けて、政府は規制する法案づくりを進めているが、全国霊感商法対策弁護士連絡会は「(この度提示された)政府案は加害行為の実態に即していないため、被害救済にはほとんど役に立たない」という厳しい声明を発表した。
統一教会はどのようにして一般人に近づき、信者として取り込んでいくのか。なぜ人は自分の全財産はおろか、親族の資産まで怪しげな集団に捧げてしまうのか──。35年以上にわたり統一教会と法廷で闘い続け、幾度も勝訴してきた弁護士はその驚くべき手法を説明する。『統一協会の何が問題か 人を隷属させる伝道手法の実態』(花伝社)を上梓した弁護士の郷路征記(ごうろ まさき)氏に話を聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)
──どういった人が統一教会の勧誘のターゲットになるのでしょうか?
郷路征記氏(以下、郷路):統一教会は信者にして献金という形でお金を収奪することを目的としているため、まずお金を持っている人がターゲットになります。また、いろんなことに疑問を持つ人は勧誘に時間がかかるので、そうではない素直な人を選びます。
さらに、宗教心の強い人、霊的な感受性のある人、具体的には先祖供養をよくする人や占いが好きな人、スピリチュアルに目覚めているようなタイプの人、そういった人をターゲットにします。
──統一教会は「あなたの人生に運勢が80%影響を与えている、努力は20%にすぎない」と語り、姓名判断の結果を口実に、不幸の原因として先祖の因縁を指摘する、と著書に書かれています。統一教会はどのように勧誘の対象者の家系の中にある不幸の因果関係を見つけていくのでしょうか。
郷路:統一教会は対象者に戸籍謄本や除籍謄本を取ってこさせて、可能なかぎり古くまで遡り、対象者の家系図を作ります。これで130年前くらい前まで遡ることができる。一番古くは江戸時代の末期くらいで、その辺りまで調べていくと、中には若くして亡くなった人や自殺した人、親の離再婚で養子縁組に入った人など、様々な事情を発見することができる。
そこから「あなたのお子さんが病気をしているのは、ほら、ここの先祖に若死にした人がいて、この人が地獄で苦しんでいるからですよ」といった説明をするのです。
──安倍元首相を殺害した山上徹也容疑者の母親のケースについても本書に書かれています。山上容疑者の母親はどのような身の上で、なぜ統一教会の信者になったのだと思われますか。