2001年、米国で9.11同時多発テロ事件が発生した時、世界のリーダーの中でプーチン大統領(当時)は最初にブッシュ前大統領に電話をかけ、同情と連帯の言葉を送った。
それから10年後、事件の首謀者であるビンラディン容疑者が米国の特殊部隊によって殺害された。この出来事に対するロシアの関心は決して大きいとは言えない。
ロシアで行われてきたイスラム勢力によるテロ
ロシア政府の公式サイトではビンラディン容疑者殺害に対するコメントが掲載された。だが、大統領の名前はなかった。
その内容は、「米国のテロとの戦いにおける重要な成果であり、歓迎すべきことだ」としており、「テロとの戦いは各国の一致団結した協力がなければ実りがない」と、テロ対策の協力を呼びかけている。
ロシア外務省は「マスコミへの声明」という形で次のように強調した。「ビンラディンの殺害は、国際テロとの戦いの象徴的な出来事である。犯罪組織の首をはねたことは、テロと戦う国々にとって実効性が大きく、長期的にも良い影響があるに違いない」
1990年代、ロシアの北カフカス地帯のテロ勢力にはアルカイダの影響が強く、ビンラディンがその活動を直接指導していた。
現在、カフカスにあるアルカイダの支部(イマラト・カフカス)は、「外部から指示を受ける十数人の若者しかいない」と推定されている。そのサイトを見ると、「4月だけでテロ作戦68件を実施し、アラーの敵30人を殺害した」などという信憑性のない自慢話ばかりである。
ただし、たとえ実行組織がアルカイダと直接的に関係なくても、アルカイダが先頭に立った「聖戦」の名のもとに、ロシアで様々なテロが行われてきたのは事実だ。
例えば、モスクワ~サンクトペテルブルク間を走る列車の爆破テロ(2009年11月)、モスクワ地下鉄爆破テロ(2010年3月)、ドモジェドヴォ空港爆破事件(2011年1月)などがそれにあたる。