バングラデシュの国境付近にはミャンマー政府による迫害から逃れてきたロヒンギャが100万人も避難生活を送っているという。写真は2017年11月、ミャンマーからバングラデシュに逃れてきたロヒンギャの人々(写真:AP/アフロ)

 バングラデシュ東部、ミャンマーとの国境沿いにあるロヒンギャ難民施設の近くで砲弾がさく裂し、ロヒンギャの青年が死亡、多数の人々が負傷する事件が起きた。砲弾はミャンマー領内から発射されており、このところこうしたミャンマー側からの国境を越えた違法な砲撃が相次いで発生している。

 国境を越えるこのような砲撃に、バングラデシュ政府はミャンマーに対し繰り返し抗議をしているものの、砲撃は止まず、ついに初の死者が出てしまった。

 国境沿いのバングラデシュ領では、美しい砂浜で知られるコックスバザールなどに、ミャンマー西部ラカイン州などから逃れてきた少数イスラム教徒であるロヒンギャの難民約100万人が避難生活を続けている。ミャンマー軍による砲撃が、偶発事故なのか意図的にこうしたロヒンギャを狙ったものかは不明だが、度重なる同様事案が発生しており偶発的ではない可能性が高いと見られている。

犠牲者は18歳のロヒンギャ青年

 9月16日午後8時半ごろ、コックスバザール周辺に点在するロヒンギャの難民キャンプからほど近いコナパラ国境付近に砲弾2発が着弾して爆発、近くにいた18歳のロヒンギャ青年モハマド・イクバル君が死亡した。また周辺にいた若者6人も負傷、地元の病院に搬送されて治療を受けているという。

 バングラデシュ国境警備隊やロヒンギャの指導者によると砲弾は国境の向こう側ミャンマーのラカイン州から発射されたことは間違いないという。国境を越えた砲撃は違法であり、重大な挑発行為でもあり、死傷者という人的被害がでたことは重大な懸念であるとして、バングラデシュ政府により厳しい抗議がミャンマーに対して行われる見通しだ。