いったい何をもたもたしているのだろうか。政府はやたら会議を作って東日本大震災からの復興策を議論しているようだが、会議から実効ある復興プランが出てきたという話は聞かない。ようやく出てきたかと思ったら、東北地方の高速道路を無料化するという民主党のマニフェストそのものだった。
無料化だけでなく速度無制限にしませんか
5月6日になって枝野幸男官房長官が東北地方だけでなくその他の高速道路も無料にしようと提案しているというニュースが飛び込んできた。高速道路料金を復興財源にという発想とは180度違って、本来のマニフェストそのものとはいえ社会主義政党らしからぬ対応でびっくりである。
しかし、どうせやるなら、東北自動車道は無料だけでなく日本版のアウトバーンにして都市周辺以外は速度無制限にするぐらいの発想は欲しい。そのうえでエコをどうしても主張したいなら速度無制限なのはハイブリッド車や電気自動車に限ってもいいではないか。
ドイツのアウトバーンを自分で走った経験はないが、以前、イタリアのアウトストラーダをアクセル全開で数時間続けて走った経験がある。時速200キロを超える世界では自動車の性能の差がはっきりと運転者に伝わってきた。
いまの日本を支えている自動車産業をさらに強めることは間違いないし、新規の需要も生み出すだろう。もちろん、新規のインフラ投資や法整備も不可欠だろうが、ぜひ検討してほしいものである。
何しろ、ビジネスの世界はスピードが命なのである。
復興とは元に戻すことではない
インテルの元会長、アンドリュー・グローブが現役時代、社内で親指と中指でぱちっと音を鳴らしながら「スピード、スピード、スピード」と言っていた姿は今でも目に焼きついている。企業にとって1日24時間をどう有効活用するかが優勝劣敗を決める。
復興とは過去を元に戻すことではなく、白くなったカンバスに新しい未来を描くことだとすれば、このスピード感は極めて重要だろう。
そして、社会の効率が上がればエネルギーの節約にもつながる。自動車の消費エネルギーは速度の2乗に比例するかもしれないが、時間の節約でトータルの効率を3乗、4乗で上げればよいではないか。
あらゆるものがIT化されスピードアップが図られている今の社会は、そういうスピード感覚なのではないだろうか。速度の3乗か4乗に比例する世界。牛馬時代の感覚でものを考えてはいけない。