展示室を出ると、エントランスとは逆側(北側)のホワイエのような空間に出る。展示室を見た後に、こういうふわっとした空間があるのは珍しい。「エントランスホール」という言葉と対比するならば「イグジットホール」か。

 展示室内が暗いので、明るい光に包まれたこの空間に出ると、深呼吸したくなる清々しさ。西側のガラス開口からは多宝塔(高野山から移築したもの)が見えて、庭に吸い込まれるよう。今回、実際の展示を見て、この空間の価値がわかった。

 帰路に着くには、そこから半屋外の縁側のような空間を南に戻る。そこから見える庭があまりに気持ちよくて、庭も歩いてみたいなと思っていたら、その考えを察するように庭の方に向かう小道が分かれていた。そちらに歩くと、館の出口を出ることなく、広い庭園内を散策できるのだ。