マレーシアの「領空」に侵入したとされる中国が開発した大型輸送機「Y-20」。写真は2020年2月、軍の衛生兵を乗せて、武漢の天河国際空港に到着した際に撮影されたもの(写真:新華社/アフロ)

 ボルネオ島のマレーシア領空付近を中国人民解放軍の空軍輸送機が大挙して飛行、これに対しマレーシア空軍が戦闘機による「緊急発進(スクランブル)」で対応していたことが明らかになった。

 マレーシア外相は中国を批判、駐マレーシア中国大使を呼び出して説明を求めるとしているが、これに対して在マレーシア中国大使館の報道官は「定期訓練である」と木で鼻をくくったような説明をするのみ。何を問題視しているのかと言わんばかりの態度なのだ。

マレーシアの抗議の「本気度」はどれだけか

 もっとも、南沙諸島で自国が領有を主張する岩礁などで、中国に好き放題にやられているベトナムやフィリピンにしても、事あるごとに中国を批判してはいるが、これらに対しても中国は同様の態度を示してきた。それどころか、実はベトナムやフィリピンの批判も、反中感情の高まった自国民向けのポーズに過ぎないとの見方さえある。経済面で中国に大きく依存する関係になっているため、南シナ海の問題はひとまず棚上げし、中国との良好な関係を維持したいというのがベトナム政府やのフィリピンのドゥテルテ大統領の意向とされているのだ。

 それでは、果たしてマレーシアの「抗議」はどれだけ本気だったのか。