JBpressは2021年2月26日(金)、3月6日(土)に、官公庁、外郭団体などの公共セクターにお勤めの方々を主な対象としたオンラインセミナー「公共DXフォーラム2021」を開催する。デジタル変革によるイノベーション創出のカギを握る自治体最高デジタル責任者(CDO)の方をお招きするほか、テクノロジー企業やプロフェッショナルファームの方々による講演を交えながら、公共、行政分野でのデジタル変革とイノベーション創出について考察する。イベントの開催を前に、登壇者である福島県磐梯町(ばんだいまち)CDOの菅原直敏氏に本セミナーの見どころを伺った。

磐梯町CDO菅原氏に聞く!自治体DXの本質とは?

 2019年、全国の自治体で初めてCDOを設置し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し始めた、福島県磐梯町。住民本位の行政サービス、地域社会づくりを目指すべく、多彩な取り組みを行っている。その内容は、完全デジタルの審議会やYouTubeライブ配信、AI文字起こしツールの活用など実に様々だ。しかし、磐梯町 CDO 菅原直敏氏は「技術ありきで考えると、本質を見失う」と指摘する。果たして自治体・行政が取り組むDXの本質とは、どのような点にあるのだろうか。

福島県磐梯町 CDO(最高デジタル責任者) 菅原 直敏 氏

 まず、自治体のDXに欠かすことのできない「重要な思考法があるという。ここで前提としていることは、企業経営やビジネスの現場で語られるDXとは大きく異なる。Society5.0やAI、スマートシティといった流行り言葉に踊らされないためにも、この思考法を理解することが “DXの成否を分ける鍵” となるはずだ。

 民間企業で推進されているDXでは、利益の最大化こそがDXの目的の一つになる。どのようにデータを利活用すれば、自社の顧客を増やせるのか。いかにして、マーケティングの成果を最大化すべきなのか。費用対効果が成否を判断する指標に据えられる。だからこそ、自治体のDXは、民間企業と同じ発想では成り立たない。自治体としてのDXへの取り組み方について、菅原氏は「人に優しいデジタル技術で、誰一人として取り残さない」ことが大事だと言い、その考えについて説明する。

 そして、「ICT化」と「DX」の違いについてご説明いただけるという。かつて行政文章でも頻出していた「ICT化」は、近年になって登場した「DX」と混同されやすい。しかし、その目的や視点、適用範囲は異なる。「デジタル化」という言葉についても同様だ。「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」という3つの段階によって、取り組みの内容や目指すべき状態も変わってくる。自治体職員は多くの関係者との連携・協働が必須だからこそ、こうした用語の共通認識を持つことが大切だ。

 ここまでで紹介した前提を踏まえつつ、菅原氏は「今、なぜ自治体にDXが必要なのか」「どのような組織設計を行い、CDOはどのような位置づけにすべきなのか」を訴えたいという。平成の30年間、自治体の財政状況は悪化し続け、今や戦略の転換を迫られている。そうした状況下、自治体はどのような視点を持ち、デジタル技術を活用すべきなのか。磐梯町の実践例から学びを得ることで、地域社会の新たな未来を描くきっかけを見出せるはずだ。

平井大臣、須藤修教授、日本総研高橋氏など豪華出演者決定

 オンラインセミナー「公共DXフォーラム2021」ではご挨拶として、デジタル改革担当大臣の平井卓也氏からお話をいただき、基調講演では、中央大学 国際情報学部 教授の須藤修氏から、「AIとSociety5.0の基盤としての公共DX」というテーマのもと、Society5.0の実現に向けた公共DXの課題とDXを推進する方策についてのご説明がある。

 特別講演Ⅰでは、菅原氏が「自治体のデジタルトランスフォーメーション〜人口3,000人・福島県磐梯町のDXへの挑戦と実践〜」というテーマで、同町の取り組みを紹介し、DXを推進する上で大切な考え方を説明する。特別講演Ⅱでは、日本総合研究所チェアマン・エメリタス(名誉理事長)の高橋進氏より、オンライン教育やテレワークの推進が必要とされる現代における公的部門のDXの意義についてご講演いただくといった豪華プログラムを予定している。

 さらに、ニュータニックス・ジャパン、ハンモック、SmartHR、メンロ・セキュリティ・ジャパン、マクニカネットワークス、オプロのテクノロジー企業各社が、イノベーションをデジタルでどう起こすかのヒントや実現方法を紹介する。

 イベントの詳細や無料の事前申し込みはこちらから。デジタル変革の実践者から、経営戦略や事業戦略の新たなアイデアを聴くことができる機会を是非活用していただきたい。