閉店の知らせが店前に貼り出されたのは6月2日、ある筋からその情報がわたしにもたらされたのは6月10日であった。すわ一大事と、その2日後におなじキッチン南海ファンの友人と店に行き、すでに最後のカツカレーを食していたのである。

 結局閉店の日は、近くにある「天鴻餃子房」の元祖ハム炒飯・餃子4個セット900円也を食べた。この店の炒飯がうまいのは前から知っていたが、なんとこのハム炒飯が絶品だった。台北の鼎泰豊(ディンタイフォン)の玉子炒飯に匹敵しようかというほどのものである。

 ここまで読んで、「キッチン南海のカツカレーを食べてみたい」「ファンだったが食べ損なった!」という方、ご安心ください。すずらん通りの「あの店」で食べることはもうできないが、中條料理長が独立して、7月中に「神保町花月の向かい」でのれん分けしたキッチン南海を開店予定である。だからあの味はそのまま引き継がれるはずである。

 ここに書かれている「神保町花月」は現在「神保町よしもと漫才劇場」となっているところで、閉店した店からすぐ近くだ。わたしはいまから開店の日を楽しみにしている。