手段が目的化しているのを象徴するように、Pマークを取得している企業での個人情報漏洩は後を絶たない

 会社の内情は入社してみないと分からない──。そんな常識が変わりつつある。分かりやすいのが、緊急事態宣言の前後における変化を見ることだ。

 新型コロナウイルスの影響で、リモートワークに及び腰だった企業も態度を改めつつある。物流では非対面のままサインを省略する置き配送が始まり、営業やセミナーもオンライン化が普及した。

 緊急事態宣言の解除を受けて元の旧体制に戻ってしまうのか、この経験を糧に業務の効率化やビジネスの新しい価値創造に取り組むのか。見方を変えれば、時代の変化に適応できる企業か否かを見分けやすくなったとも言える。

 4月には休業者数が過去最多の597万人を記録した。失業者ではなく休業者が急増したのは、経済が回復した時に備えて企業が雇用の維持を図ったという理由もある。とはいえ、新型コロナウイルスが終息したわけではない。緊急事態宣言は解除されても、時代に合わせて変われない企業には厳しい未来が迫っている。

 この未曾有の事態で会社の“体質”に気づき、見切りを付けた人も出始めている。この5月に教育サービスの会社を辞めたITエンジニアのO氏もその一人。「僕の仕事はリモートでも支障がないのにオフィス勤務を続けるように言われました。理由を聞いても『ルールだから』と言うだけ。もう付いていけません」(O氏)。

暗号化添付メールははっきり言って迷惑

 時代に適応できない企業を見抜くポイントは、新型コロナウイルスへの対応の他にもある。社外から分かりやすいのが、電子メールの暗号化した添付ファイルだ。

 ビジネスで電子メールを使う人は多いが、わずらわしいのが暗号化した添付ファイルである。パスワードを別のメールで送信するケースが多く、複数のメールが行ったり来たりする。とりわけスマートフォンではパスワードがあっても暗号化したファイルを開けないことがあり、移動中に資料を読もうとするビジネスパーソンを苛立たせている。

 このパスワード別送メールは情報漏洩を防ぐセキュリティ対策として導入されているが、識者の間では「意味がないのではないか」という指摘も多い。パスワードも同じメールで送っているため、もしメールが第三者に漏洩しているのであれば添付ファイルの暗号化も破られてしまうからだ。

 意味がない以上に問題なのが、犯罪を助長している点だ。