日本人が日本人であることの誇りを失ったのは、戦後GHQの占領政策にまんまと嵌った左翼的な教科書作りに負うところが大きいと、『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』の著者、竹田恒泰氏は言う。

 同書では、英国BBCの世論調査で日本が2006年から3年連続「世界に良い影響を与えている国」第1位になったことが紹介されている。 一方、日本人の自国に対する評価は、他の国と比べて肯定(良い影響)の割合が極めて低い。

 この自虐的な自己評価の原因は何か、なぜ日本人は日本の良さに自信が持てないのか、竹田氏に聞いた。 

神話も、建国の経緯も教えないのは日本だけ

竹田恒泰氏/前田せいめい撮影竹田 恒泰(たけだ・つねやす)氏
作家。慶應義塾大学講師(憲法学)。1975年、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇 の玄孫に当たる。2006年に著書『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で山本 七平賞を受賞。その他著書に『ECO.MIND【エコ・マインド】~環境の教科書』(ベストブック)、 『皇室へのソボクなギモン』(扶桑社、共著)、『旧皇族が語る天皇の日本史』 (PHP新書)などがある。(撮影:前田せいめい)

 戦後、日本の教育は大きく変わりました。特に重要なポイントは神話を教えなくなったことです。

 日本はすべてアメリカ式がお手本で、科学的でないことは教えてはいけないような雰囲気に支配されています。学校で神話を教えるべきだと言うと、封建的だとか非科学的だとか批判される。

 しかし近代合理主義のなれの果てみたいなアメリカですら、ノアの方舟やモーセの十戒などの旧約聖書に出てくるキリスト教の神話やギリシャ神話を教えています。

 韓国もそうです。日本の天孫降臨と似たような神話があるのですが、韓国人はみんなそれを知っています。

 ところが日本では、天孫降臨というと焼酎のブランドか? みたいな話になってしまう。非科学的だから、事実じゃないからという口実のもと、神話教育が否定されているからです。

 神話と同様、建国の経緯も、ほとんどの国が一番力を入れて教えることです。アメリカ人ならだれでも、いかにアメリカ合衆国ができたかを説明できます。

 中国人なら毛沢東がいかに偉大だったか、フランス人ならフランス革命を、滔々と語れる。

 しかし日本人は日本という国がいつどのようにできたのか、だれも答えられません。教科書に書いていない、したがって学校が教えないからです。

 日本の教科書は歴史を地質学や考古学から語り始めます。ヤジリだとか土器だとか古墳だとか、最初はずっと発掘の話ばかり。それが飛鳥時代に入るあたりで、ガラッと変わります。要するに理系で語っていた口調が、途中で文系のそれにスイッチするんです。

 考古学は理系で史学は文系ですから、学問の体系が全然違う。なのに同じ教科書に両者が併存している。こういう歴史の語り方はほかの国にはありません。

 説明自体はとても科学的ですが、そこに巧妙な企みがある。ことさら科学的に論理的に語ることで、神話や建国の経緯を教えずに済ませるという、いうなれば裏ワザなんです。

日本精神を骨抜きにするための、GHQの企みとは?

 背景には、日本人気質をなきものにしようという連合国の意図があります。連合国が日本を占領した目的は、日本を二度と連合国に歯向かわない国にすることでした。そのためには教育の中身を変えて、日本精神を骨抜きにする必要があった。