米アップルのタブレット端末「アイパッド(iPad)」を巡って今、米国のケーブルテレビと、番組を配給するメディア企業の間でもめ事が起こっている。事の発端はケーブル大手のタイム・ワーナー・ケーブル(TWC)が3月15日に公開したアイパッド向け番組視聴アプリ「TWCable TV」だ。

突如、配信中止を余儀なくされる

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論争の発端となったのは、iPad向け番組視聴アプリだった〔AFPBB News

 TWCの加入者はこのアプリを使ってケーブル番組をアイパッドで見られるようになった。追加料金はかからない。ところがTWCは4月1日、突如として番組提供者からの反対を受けたため、一部チャンネルのアイパッドへの番組配信を停止すると発表した。

 同時に公式ブログで「彼らは当社を訴える構えだ」などと批判し、具体的に「ナショナルジオグラフィック」「MTV」「ディスカバリーチャンネル」といった11のチャンネル名を挙げ、これらを運営するメディア企業は「時代の流れに逆行している」と非難した。

 アイパッドへの番組配信に異を唱えているのは、傘下に多くのケーブルチャンネルを持つ、米ニューズ・コーポレーション、米バイアコム、米ディスカバリー・コミュニケーションズなど。これらメディア大手は、「専用の受信端末を介してテレビに番組を配信するというのが契約の内容であり、アイパッドは契約には含まれていない」と主張している。

 これに対しケーブルテレビ局側は、「顧客は視聴料金を支払っており、配信先がテレビのスクリーンでもアイパッドのスクリーンでも法的には変わりがない」としている。

 アイパッドのアプリを利用するには、ケーブルテレビの加入者IDとパスワードを入力する必要があり、指定のインターネット接続業者を利用しなければならない。つまり、加入者以外の人がアプリをダウンロードしても視聴できない。また加入者がアイパッドを外に持ち出した場合は視聴できない。こうした制限を加えることで、メディア企業との契約を順守していると主張している。

メディアは新たな収益源を模索

 こうした中、別のケーブルテレビ局、ケーブルビジョン・システムズもTWCに追随する形で自社サービス向けアイパッドアプリを公開した。

 メディア大手が同社にも圧力をかけたという報告はまだないが、同社のアプリの場合はTWCと異なり、ほぼすべてのチャンネルの視聴を可能にしていたり、ビデオオンデマンド配信や録画予約機能なども備えたりしており、さらに物議を醸しそうだ。