11月1日、4者会談に先立ち、IOCのジョン・コーツ調整委員長と言葉を交わす小池百合子都知事(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 東京五輪のマラソンと競歩の競技会場が東京から札幌に変更され、日本国中に衝撃が走った。これは、IOC理事会で決定され、10月16日に公表された。五輪憲章では、このIOC理事会が最終決定権限を持つことになっている。東京都が、「札幌移転」を組織委員会から告げられたのは、発表前日の15日。開催都市である東京都には何も知らされず、根回しは行われていた。

 25日、コーツ調整委員長は都庁で「札幌移転」に不満を持つ小池都知事と会談し、札幌移転は決定済みであることを強調した。

 30日から、調整委員会と組織委員会、東京都、国の4者で会議が開かれたが、11月1日の4者のトップ会議でも、札幌変更が覆ることはなかった。小池都知事は最後まで移転案に同意しなかったが、「IOCの決定を妨げることはしない」として「合意なき決定」として札幌移転を受け入れた。

 今後は、札幌開催経費を誰が負担するのか、短期間でどのように準備を進めるのかなどについて、具体的な調整が進められる。

スポーツの話に北方領土やプーチン大統領を持ち込むべきではなかった

 都知事として、私は2020東京大会の成功のために全力をあげたが、その過程でIOCや組織委や国と様々な難しい交渉を行ってきた。典型的なケースは、競技会場の都外への移転(バスケットボール、自転車、ヨットなど)と新国立競技場建設計画変更であった。