東北地方太平洋沖地震と、それが引き起こした巨大津波による被害の甚大さには言葉もない。その被災者の方々にも、また被災地域にも、筆者個人では何もできない。その無力感に苛まれつつ、テレビや新聞が報道する内容を追い、インターネット上に点在する状況報告を拾い集めて、自分なりに「何が起こっているのか」を描き出そうとする日々が続いている。

 結局、私が今できることは、そこに見えてくる、あるいは見えてほしいのに浮かび上がってこない事象を整理して、より多くの人々と分析や検討、考察を共有することしかない。そう思ってこのコラムをしたためている。

 今回の災害は、何より被災地域が太平洋岸に沿って非常に広く伸びていること、そして津波によって、街や集落が壊滅的に破壊され、さらに道路や鉄道、港などの交通網もまた破壊されてしまったことが、その実態の把握を難しくしている。

 テレビや新聞の「報道」は、震源の分布、そして個別の被災地の状況、そして行政から発表される数字を集めた被災や避難の状況は並べるものの、どこのどんな地震や津波が襲い、その結果、被害はどう広がり、避難した人々がどこにどう分散しているか、そこにどんな救難や救援が行なわれて、状況はどう変化しているのか、という「全体像」を描くことはほとんどしていない。

 しかし、それがないと肉親や知人の安否を確かめることから、さらに救援や支援の方策も考えることもできないのである。

 報道機関は初動から現地に踏み込めるようになるにつれて、「衝撃的映像」や「被災者はその時・・・」「避難所の暮らしは大変で・・・」といった過去の災害報道をなぞる情緒的なもの一辺倒になってゆく。全てが断片であり、「点」の紹介でしかない。避難している人々の数だけでも50万人近いというのに、テレビはごく限られた現地、避難所からの同じリポートを繰り返している。

自衛隊による空撮写真もあるはずなのに

 被災状況を俯瞰し、避難所や炊き出し実施場所などの場所を確かめるためには、もはやインターネット上のサービスの方が日本のテレビや新聞よりもずっと有益である。

 例えばGoogleの「Google Crisis Response」にアクセスすれば、様々な情報や災害掲示板へのリンクに始まって、避難所をGoogleマップに表示したもの、そしてさらにDigital Globe社やNASAの衛星が撮影した被災地の画像を見ることができる。さらにそれをGoogle Earthに重ね合わせて見ることができるKMLファイルまで用意されている。