日本は米大陸に次ぐ重要な半導体製造の拠点で、日本を襲った巨大地震は世界の電子機器業界に大きな影響を及ぼしそうだと海外のメディアが報じている。

 米ウォールストリート・ジャーナルは12日付の電子版で、今回の大震災が日本の数十の半導体工場に影響を及ぼし、とりわけスマートフォンやタブレット端末の記憶装置として使われるフラッシュメモリーが不足するのではないかと伝えている。

iPhoneやiPadにも使われるメモリー、日本のシェアは35%

 米国の調査会社IHSアイサプライによれば、日本の半導体メーカーの昨年の収益は633億ドルで、世界市場全体に占める割合は20.8%だった。また日本の電子機器の生産高は世界の13.9%、消費者エレクトロニクス製品の生産高は同16.5%となっている。

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アップルの「iPhone」や「iPad」(写真)などにも多くの日本製部品が使われている〔AFPBB News

 このほか、大型液晶パネルの生産高は6.2%で、液晶テレビは14%を占めている。重要なのは日本がパネル部品の生産で高いシェアを持っていることだという。

 ガラス基板や、偏光フィルター、バックライト光源であるCCFL(冷陰極管)やLED(発光ダイオード)の多くが日本で生産されているとIHSアイサプライのアナリストは指摘している。

 被災地と各メーカーの主要工場は数百キロメートル以上離れている。例えば東芝と米サンディスクの合弁事業が、東芝の四日市工場でNAND型フラッシュメモリーを生産している。

 これは、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」や「アイパッド(iPad)」といった消費者向け機器の主要部品で、これら日本を拠点とするメーカーの世界におけるシェアは35%となっている。

アナリスト、深刻な部品不足を予測

 ウォールストリート・ジャーナルは、こうした大半の工場は大地震に耐えられる構造になっているとしたうえで、「しかし完成品の空港や港への輸送や、部品調達、従業員の移動といった点で困難な問題に直面する工場が出てくる」と伝えている。