アマゾンは書店をスクラップして、オンラインストアをビルドした(写真はイメージ)

(高野 研一:コーン・フェリー日本共同代表)

「デジタル破壊」(Digital disruption)から日本企業はいかにして身を守るか?

 この問いに関する私の答は、「自らプラットフォーマーになるしかない」である。

デジタル破壊の本質

 デジタル破壊とは、前回(「産業革命に追いついた日本、デジタル革命でも再び」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55315)指摘したように、情報通信技術を使った、業界バリューチェーンのスクラップ&ビルドのことをいう。

 例えば、アマゾンは書店をスクラップしてオンラインストアをビルドすることにより、家にいながらにして世界中の本を買うことを可能にした。それによって書店に流れていたお金をアマゾンに引っ張ってくることに成功し、短期的に大きな企業価値を創出したのだ。

 また、卸業者が果たしていた売れ筋在庫の管理も、アマゾンのデータベースと自動化倉庫によりスクラップ&ビルドが進みつつある。さらに、Kindle(キンドル)本(電子書籍)の導入は、本を紙に印刷することすら不要にし、印刷会社をスクラップすることにもつながりつつある。

バリューチェーンの変革がお金の流れを変える

破壊的プラットフォーマーから身を守るためには?

 なぜこのようなバリューチェーンのスクラップ&ビルドが可能になったのだろうか。それは、情報通信技術を活用することによって、アマゾンが顧客の意思決定の川上に入り込むことに成功したからだ。

 顧客の購買消費体験のことをカスタマージャーニー(ジャーニーとは「旅」のこと)というが、「ニーズの発生 → 情報収集・検索 → 比較 → 購買 → 口コミ」といった流れをたどることが多い。