スマホアプリが充実し、今やほとんどの仕事はスマホでこなせるようになった。カレンダーアプリ、メモアプリ、ToDoリストなどのアプリはほとんどのスマホにプリインストールされているし、FacebookメッセンジャーやLINEなどを使えば、遠隔地にいる人とスピーディーに議論をすることもできる。無料で、もしくは安価に利用できるアプリは、特に中小企業や小さな組織で働く人にとっては非常にありがたいツールといえるだろう。

 仕事の生産性を高めるためのアプリは数多くあるが、一体どれを使えばいいのだろう。インプレス執行役員であり、できるネット編集長・できるビジネス編集長の藤井貴志氏におすすめスマホアプリを聞いた。(取材/大野恭希、文/安齋慎平)

生産性を向上させるおすすめスマホアプリ20

 インプレスの代表的な書籍といえば累計7000万部を誇るパソコン解説書「できる」シリーズだろう。インプレスには「できる編集統括部」というものがあり、その中に現在は4つの編集部がある形だ。藤井氏は統括部長として全体をまとめながら、Web 媒体と紙媒体の両方を手がけるできるネット編集部の編集長と、紙媒体のできるビジネス編集部の編集長を兼務している。

 藤井氏は次のように話す。「Webと紙の両方を担当しているのが大きいですね。紙とWebの両方をしっかり回していくことは大変で、うちもまだ道半ばですが、実際に1人ひとりの編集者単位でWebと紙の両方をうまくやっている編集部はまだ少ないと思います。そこを目指して日々の企画や編集業務にあたっています」。

 もともとは雑誌や書籍を担当していたという藤井氏。できるネットは書籍コンテンツのデジタル展開に向けた実験的な取り組みとして進めていた部分もあったというが、最近ではページビューも稼げるようになり、読者のニーズにも応えられているのではないかと話す。

「私たち編集者は、特定のメディア形態だけにこだわることなく、1つずつの企画に応じて『これはWebで見せたほうがいい』とか『これは紙向けだ』とか判断して企画内容にマッチするメディアにアウトプットできるほうが、執筆者にも読者にもメリットがあると思います。今後、メディアをめぐる環境が変わっていく中で、Webと紙の両方の知見と編集スキルがあることは、広い意味での『メディア』を面白くすることにつながるのではないかと思います」

 一口に編集と言っても、紙とWebとでは仕事の進め方が異なる。編集・校正校閲のやり方が違うのはもちろんだが、プロモーション担当・営業担当との関わり方、根回し・調整、企画の動かし方など、制作に関わる人との調整の仕方はまったく異なるという。「両方できるようになれば、1人ひとりの編集者にとっても大きな強みになるだろうなと思っています。実際は大変で本当に日々ドタバタですけどね。でも、両立させたいという志を持って仕事をしています」。

 2つの編集部の編集長を兼務している藤井氏は、業務を効率的にこなし生産性を向上させるためにどのようなスマホアプリを使っているのだろうか。藤井氏に尋ねたところ、20のアプリを挙げてくれた。藤井氏のコメントとともに紹介しよう。

インプレスで、できるネット編集長とできるビジネス編集長を兼任する藤井貴志氏。できるシリーズは累計 7000 万部を誇るパソコン解説書であり、2019 年に 25 周年を迎える歴史あるシリーズだ。できるネットはこのシリーズの Web 版であり、2014 年に公開された。2018年10月にはリニューアルを行い、「新たな一歩を応援するメディア」として、読者に役立つコンテンツを提供している

【1】Google Keep(AndoroidiOs

「Googleが提供しているメモアプリ。メモや写真、音声などを保存できます。私は歩きながらものを考えることが多いのですが、このアプリは軽いので歩きながら起動するのに向いていますね。アプリ内でメモにピン留めしておくとそれが常に上部に固定表示されるようになっているので、優先順位の高いタスクはピン止めしてアイディアを逃さず記録できるようにしています」

藤井氏が実際に使っている「Google Keep」画面のスクリーンショット