(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)
米中の激しい貿易戦争が続いている。この対立が長期化することは間違いなさそうである。
昨年(2017年)12月、米トランプ政権は「国家安全保障戦略」をまとめた。ここでは、中国やロシアを名指しして、「技術、宣伝および強制力を用い、米国の国益や価値観と対極にある世界を形成しようとする修正主義勢力」と批判し、「我々は、米国の知的財産を盗用し自由な社会の技術を不当に利用する者から、自国の安全保障の基盤技術を守る」と宣言していた。中国を盗人呼ばわりする程の強烈なものである。トランプ政権が中国に仕掛けている強硬姿勢は、この新たな戦略に基づいている。
強烈だった副大統領の対中批判
この戦略を詳細に語ったのが、2018年10月4日、マイク・ペンス米副大統領がハドソン研究所で行った講演である。ペンス氏は、「ソ連の崩壊後、我々は中国の自由化が避けられないものと想定した。21世紀に入り、楽観主義によって中国に米国経済への自由なアクセスを与えることに合意し、世界貿易機関に加盟させた」「これまでの政権は、中国での自由が経済的だけでなく政治的にも、自由主義の原則、私有財産、個人の自由、宗教の自由、全家族に関する人権を新たに尊重する形が拡大することを期待してこの選択を行ってきた。だがその希望は達成されなかった」と述べ、以下の通りほとんど全分野にわたって中国を厳しく批判したのだ。
・そもそも中国の経済的成功の大部分は、アメリカの中国への投資によってもたらされた。過去25年間にわたって「我々は中国を再建した」。
・中国の安全保障機関が、最先端の軍事計画を含む米国の技術の大規模な窃盗の黒幕である。中国共産党は盗んだ技術を使って大規模に民間技術を軍事技術に転用している。