オープンイノベーション時代の資金調達「ICO」

スタートアップの福音となるか。法規制の行方やいかに——

木下 充/2018.9.26

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 インターネット登場以来のパラダイムシフトをもたらすのではと言われるブロックチェーン。現在のところ主に仮想通貨を支える技術として注目を浴びているが、ゆくゆくはビジネスそのものや社会のカタチさえも変える可能性を秘めていると言われる。

 そんなブロックチェーンを応用した仕組みの1つに「ICO(Initial Coin Offering、新規仮想通貨公開)」がある。ベンチャー企業や事業プロジェクトを立ち上げる際に「トークン」と呼ばれる独自の仮想通貨を発行し、ブロックチェーンを使って資金調達ができる仕組みだ。例えばCrunchbaseの調査によれば、アメリカのFilecoin社は2017年に行ったICOで約288億円を調達したという。いまブロックチェーンとあわせて、新しい資金調達法として世界的にICOへの注目が高まっている。

第三者機関が不要となる新しい世界の取引

 ICOについて語る前に、基盤となるブロックチェーンのどこが革命的かという話を少ししておこう。ひとことで言うならば、「仲介役となる第三者機関を通さずとも信頼できる一貫した情報がユーザー間でやりとりできる」という点にある。

 例えば送金の例を挙げてみよう。これまでお金の振り込みをする際は銀行に数百円の手数料を支払うことで、振り込んだ事実を銀行に証明してもらい送金を行っていた。しかし仮想通貨においては、その銀行の役割をブロックチェーンが果たすことで、銀行よりも少ない手数料だけで、誰も改ざんができない世界中に連なった取引情報として記録されて送金が成立する。つまり世界中のユーザーが銀行に代わって振り込んだ事実を証明してくれるというわけだ。

 このように、第三者機関(前述の送金の例では銀行)が不要で、信頼性の高い取引ができるというのがブロックチェーンの本質的な効能だ。