ポーランドのワルシャワで開催された世界ニコチンフォーラム。各社ブースではAR・VR技術などを活用した工夫を凝らしている

 前回は、フィリップモリスが保有するスイスの研究開発施設「キューブ」を取材した模様をお伝えした。そこで生み出されたIQOS(アイコス)は日本で大ヒットし、今や世界38カ国で販売されている。

 しかしアイコスは「健康リスクの低減」を公的機関に認められたわけではなく、日本の政府も扱いに迷っている状態だ。

 日本に限ったことではない。10年ほど前から電子たばこ(e-cigarette)がにわかに普及した欧米では、以前から同様の状況にあり、各国の政府がその扱いに苦慮し、むしろ規制強化に動いている。

 そうした中で、2014年から年に1度、新しいニコチン製品に関する様々な課題や将来のあり方について、世界中から人々が集まって話し合う「世界ニコチンフォーラム(GFN)」がポーランドのワルシャワで開催されている。

 今年は6月14日から16日までの3日間の日程で行われると聞き、現地に赴いた。

世界中から集った専門家が議論する
世界ニコチンフォーラム

 「5th GLOBAL FORUM on NICOTIN(GFN)=第5回世界ニコチンフォーラム」は、たばこの製造業者、流通業者をはじめ、政策アナリスト、公衆衛生の専門家、議員、学者、メディアや消費者団体と、幅広い分野の人たちが一堂に会し、ニコチン製品の現在と未来について語り合う場だ。

 会場はワルシャワ市内にある、マリオットホテル内のコンベンション施設。昨年からは、ニコチン製品の最新技術を紹介する国際シンポジウム「ISoNTech」も並行して開催されている。

 6月14日、2つのイベント会場のフロアには、フィリップモリス・インターナショナル(PMI)、JTインターナショナル(JTI)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、アルトリアなどの世界的たばこ会社をはじめ、電子たばこの専門企業や情報提供サービス会社、医薬用のたばこ葉を開発するバイオ企業、それに消費者支援団体など、11の展示ブースが並んでいた。

 周辺の壁には、各種実験データや統計データをまとめたポスターがぎっしりと掲示されている。

 メイン会場のカンファレンスルームでは、出展社の代表が順に登壇し、それぞれの製品技術や研究の成果を発表した。