米フィリップ・モリス、将来は紙巻きたばこから撤退へ CEOが意向

スイス・ローザンヌにあるフィリップモリスインターナショナルの建物(2015年10月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/FABRICE COFFRINI〔AFPBB News

 「IQOS(アイコス)」「Ploom TECH(プルーム・テック)」「glo(グロー)」・・・。「加熱式たばこ」と呼ばれる新しいタイプのたばこ製品が急激に市場を拡大している。

 「加熱式たばこは煙が出ないため副流煙による受動喫煙のリスクがなく、紙巻きたばこにくらべて有害物質が大幅に低減している」との触れ込みで、喫煙者が一気に紙巻きたばこから乗り換えているのだ。

 急増する加熱式たばこユーザーを背景に、東京都は7月、紙巻きたばこと加熱式たばこを区分し、加熱式たばこの規制を一部緩和する条例を定めた。政府も対応に動き出している。

 加熱式たばこを巡る議論は日本だけでなく世界にも広がっており、各国でその扱いや規制のあり方が話し合われている。

 そこで、加熱式たばこブームでにわかに変わり始めた喫煙を巡る環境についてリポートする。第1回目の今回は加熱式たばこの登場から現在までの状況を整理する。

 次回以降は、たばこ会社が次々に繰り出す実証データの信憑性を確かめるため訪ねた、スイスにあるフィリップモリス・インターナショナル(PMI)の研究開発施設の取材模様や、世界各国のたばこを巡る議論を知るため、今年6月にポーランドのワルシャワで開催された「世界ニコチンフォーラム」で聞いた各国の専門家の声と、規制の状況について紹介していく。

喫煙に厳しい東京都が加熱式たばこの規制を緩和

 日本で加熱式たばこのブームが起こるきっかけとなったのは、PMIが開発した「アイコス」の登場だ。2014年に一部販売がスタートし、2016年に全国販売されてから急激に販売数を伸ばし、今年の6月にはユーザー数が500万人を突破したことを発表している。

 他のたばこ会社もこれに追随している。アイコスに続いて登場したブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」は、2017年10月に全国での販売を開始し、今年の1月30日に、日本市場での累計出荷台数が200万台を超えたと発表。

 最後発の日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック」は、今夏に全国販売を始めたばかりだが、7月時点で累計販売が400万台を突破。一気にグローを抜き、業界2位に浮上している。

 各社が激しいシェア争いを繰り広げながら、市場全体を急拡大している。