胡錦濤国家主席の訪米をメディアは日本で、そして米国でも、成功と呼んでいない。

 1月18日から21日まで4日間の滞在中、主席は記者会見で人権を巡って突っ込まれ、非公式夕食会ではバラク・オバマ大統領に北朝鮮政策を批判されたと伝えられる。行く先々で集団抗議の洗礼も浴びた。

米国の核開発拠点が中国と提携

 しかし今度の訪米は、米中経済関係を一層抜き差しならないものとし、ひいては安全保障に少なからざる波及効果、もっと言えば混乱を及ぼすだろう。

 例えば、高らかに謳われるエネルギー分野の米中協力を米側で担う機関として、核兵器開発で名高いローレンス・リバモア研究所が前面に登場してきたなどは、象徴的である。

 そこから手繰って関連情報を見ていくと、いろいろ考えるべき論点が出てくる。だが今回着目しようとするのは別の件、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が結んだ5つの約束だ。

 情報はすべてGEの発表(PDF)に基づく。それを少し丹念に見ていくだけで、今後起きるであろう事態が予見され、いくらか唖然とさえさせられる。

ホワイトハウスのお墨付きを得た5つのディール

 GEとは、昔も今も米国において別格の座を占める会社だ。

 オバマ大統領はこのほど、GEの会長兼CEOジェフリー・イメルト氏を直属諮問委員会(「雇用と競争力に関する諮問会議」)の議長に選んだ。

 そのことをオバマ氏は21日、胡主席離米の日にニューヨーク州にあるGEの工場へわざわざ出向き、イメルト氏を脇に置いて発表した。

 だとすると以下に見ていく5つのディール(別表参照)とはすべて大統領の承知するところで、各事業における今後の展開は、ホワイトハウスのお墨付きを得たものになるとみてよいのではないか。