2018年5月24日、ふだんならあまり注目を浴びない経済統計が発表になると韓国メディアは大騒ぎになった。
「経済政策失敗」
翌日の新聞にはこんな見出しの記事があふれた。あわてた文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領は5月29日に、2時間半にわたって「緊急経済点検会議」を開催することになった。
その統計とは、統計庁が発表した「2018年1~3月期家計所得統計」だった。
所得に応じて世帯を5分類し、それぞれの所得がいくらだったかという重要だが地味な統計だ。ふだんはメディアも関心をほとんど寄せない。ところが、思わぬ結果が出て一気に注目を浴びてしまった。
家計所得統計の衝撃
所得下位20%の「第1階層」の所得が前年同期比8%減、下位20~40%の「第2階層」の所得が同4%減になってしまった。
逆に、上位20%の「第5階層」の所得は同9.3%増を記録したのだ。
所得が低い階層の所得がさらに減少し、所得が多い階層の所得がさらに増えた。つまり、経済格差が拡大したということだ。それもかなりのペースで。
これは「庶民中心経済」「格差是正」を掲げる文在寅政権にとっては衝撃的な数字だった。
「第1階層」の所得は、2016年に前年比2.9%減少した。しかし、文在寅政権の登場とともに2017年4~6月期からプラスに転じていた。それが、1~3月期に一気に大幅マイナスになってしまったからだ。