サムスングループや現代自動車グループなど財閥は大きくなったが、経済格差が広がる一方で雇用は期待したほどには伸びなかった。

 サムスン電子の半導体事業は絶好調だが、半導体産業では雇用拡大効果は投資額ほど伸びない。サムスン電子や現代自動車など主力企業は、生産拠点を韓国よりも海外で急拡大させている。経済構造上、雇用はそれほど伸びないのだ。

 経済政策は財閥のためのものではない。庶民中心の政策を実行する。文在寅政権はこう考え、「所得主導成長論」を唱えた。

 庶民層の賃金を引き上げ、非正規職を正規職に転換する。そうすれば、消費が伸び、企業はこれを受けて設備投資を増やす。

 経済成長のけん引役を財閥から庶民層に変えるという発想の転換だった。だから最低賃金の引き上げは最も重要な政策だった。

 ところが、1月に引き上げたとたんに、格差がうんと拡大してしまったのだ。

 毎日経済新聞などはこれを、実体経済を理解せずに無理な賃上げを進めた結果、雇用が減少するなど逆効果が出てしまったためだと分析する。

 これに対して政府は、統計が出た直後には、「高齢化と観光客の伸び悩みで飲食店などの経営が振るわなかったためだ」などと説明した。

 この説明にさらに批判が出てしまった。